私は、平成5年に大学を卒業し歯科医師になり、その後、一般の診療所で勤務医となりました。
勤務医として治療経験を積むにつれ、私は、治療した歯が再度悪くなって来院されたり、ずいぶん悪い状態になって、歯を抜かなくてはならない経験をし疑問を感じるようになりました。この様な事を繰り返さないためには、病気を予防すること、そのために虫歯予防と歯周病治療を行うことが大切だと思うようになりました。
私は、できるだけ歯を抜かないようにするために、歯を残すためにはどうすればよいかと言うことを第一に考え、歯周病治療と予防をきちんと行うべきだとの結論に達しました。
患者様に予防の重要性を一生懸命、熱意を持って伝えました。しかしなかなか患者様には伝わらず、残念ながら一向に歯周病治療を希望する患者様は増えませんでした。
自分の考えが甘かったことを思い知らされました。
自分には才能がないのではないか、自分の考え方が間違っているのではないか・・・。
私は、何かヒントを得ようと、必死でした。
歯周病で全国的にも有名な先生のところで歯周病について学び直し特にその先生の医院で学んだことをベースに、医院で自分なりに治療方法を見直しました。
また、治療が終わって終了して終わりではなく、継続的にお口の中を管理させていただいています。そうすると徐々に、患者様にも理解していただけるようになりました。初めは主訴を中心に治療をし、虫歯や歯周病の進行が悪くならないようになってから、本格的に歯周病の治療をすることもあります。今では、多くの症状に対応できるようになり、他院で歯を抜かないといけないと言われた患者様が当院にお越しになっていただけるようになりました。歯を抜かずにすんだケースがいくつもあります。
しかし、患者さんが長引く治療や手術を望んでる訳ではありません。
近年、学会や講習会で、抜かなくてもよいと思われる歯を抜いて、インプラント治療を行うケースがよく紹介されており、私自身、少々違和感を感じています。もちろん、インプラント治療にも大きなメリットがありますが、やはり、自分の歯以上のものはないと思うのです。自分の歯で一生を過ごすことは究極の幸せだというのが私の信念です。